皆の衆、ようおいでなされた。
どうじゃろう、今宵はわしのとっておきの話をしようかいの。
眠りの国に行く前の夢夜話にきくといい。
それは昔むかし、人々の夢がまだ本当に叶っていたころの物語じゃ。
遙か西のある国に貧しい木こりの兄妹が住んでおった。
兄のチルチルは賢明な若者で、妹のミチルをたいそう可愛がっておった。
クリスマスの前の夜、ある老婆が兄妹を訪ねて言ったんじゃ
「重い病気の娘のために幸せの青い鳥を探しておくれ」と。
美しいミチルの横顔に娘の面影を映したんじゃなぁ・・・
涙に暮れる老婆を不憫に思った兄妹は
優しい母に別れを告げて青い鳥を探す旅に出たんじゃ。
娘の病気をたちまち治してしまう幸せの青い鳥。
ミチルの手を引いて暗い森を進むチルチルは
ずっと考えていたんじゃろうなぁ。
思い出の国の時も、未来の国の時も。夜の御殿を訪れた時もそうじゃ。
黒くなってしまった鳥を抱き、二人が見つけた幸せの意味を・・・