皆の衆、ようおいでなされた。
今宵は夢夜話にひとつ、わしのとっておきの話をしようかいの。
遙か西のある国に住む木こりの兄妹の旅の続きじゃ。
気の毒な老婆とその娘を助けようと青い鳥を探す旅にでたんじゃったなぁ。
光に導かれ、犬や猫、パン、砂糖らといっしょに旅を続けるんじゃが・・・
「思い出の国」で見つけた鳥は黒くなり、
「未来の王国」で見つけた鳥は赤くなり、
「夜の御殿」で見つけた鳥は死んでしもうた。
手の中で死んでしもうた鳥を見て優しい兄妹は何を思ったことじゃろうて。
青い鳥が幸福を運ぶのかのう、それとも、幸福が鳥を青くするのかのう・・・
未来の船に乗れぬまま彷徨う旅の一行を「時」の番人が追い詰めたんじゃが、ふたりは間一髪、光が示す幸福の扉を見つけるんじゃ。
・・・それから、二人はどうなったかって?
そうじゃのう。今宵は十五年目の特別な夜じゃ。
わしも久しぶりに二人の顔がみとうなったわい。
おや、鳥たちもわしらを見つけたようじゃ。
幸福な二人の話をたっぷり話そうかいの・・・。