幼SD☆想いでの街、原宿　記念インタビュー・1　～造形村　圓句昭浩～

2023.07.20

ドルフィー生誕25周年記念モデルとして登場する幼SD ルナとリーゼロッテ。
19年ぶりとなる幼SDボディのリニューアルにも大きなご注目をいただいています。
商品の開発に携わったクリエイターから、隠れたこだわりや見どころをご紹介します。

前半は造形村を率いる造形師、圓句昭浩です。
リニューアルした幼SDボディにこめた想いをお聞きしました。

造形村　造形師・圓句昭浩（えんくあきひろ）
記念インタビュー

聞き手：ドール企画室

＜圓句昭浩（えんくあきひろ）＞
造形村所属。ガレージキットやフィギュア作品で数々の名作を手掛けたのち、最初のスーパードルフィー SDキラ、サラ、ナナ、めぐ達を生み出す。
造形村ウェブサイト-会社案内　https://www.zoukeimura.co.jp/company.html

─ リニューアルした幼SDボディのコンセプトを教えてください。

「幼天使　ゆき」の誕生から19年がたちました。
スーパードルフィーが最初に誕生したときのコンセプトは「成長するお人形」という神秘的なものでした。このコンセプトにはたくさんの意味がこめられています。
長い年月の中で、お客様の感性も、私たちボークスの造形も育っていきました。
スーパードルフィーに求められるものも成長していますよ。
そういった中で、新しい幼SDボディは現時点のドルフィーの集大成と言えると思います。

─ 新しいボディでは球体関節の表現が新しくなっており、ポージングの幅も広がりました。詳しく教えてください。

これまでのボディでは難しかったポーズも得意になりました。
頬杖をついて見上げるなど、顔を上にそらすポーズをとることができて、可愛いです。
関節が深く曲げることができるようになりましたので、体育座りもできます。
絶妙な角度で肘や膝を止めることができるので、ぜひお試しください。

27cmドルフィーの頃から、いかに少ない関節で美しくポーズをとるかを追求しています。
幼ＳＤボディの肘や膝は二重関節ですが、ボディラインの美しさを損ねないよう、外観は一重関節に見えるようにしました。

肘や膝を曲げる角度によって、2つの球体がそれぞれ働く仕組みです。深く曲げても、肘や膝の断面が見えてしまうことがなく、自然なボディラインで繋がります。

人形の関節は2次元、3次元の世界で考えていてもうまく行かない。4次元、5次元の発想が必要だと思うことがよくあります。
関節の仕組みの選択肢は無限大です。ひらめきや発明というよりは、発見を重ねて、たどり着いています。

─ 幼SDは”あなたがいよいよこの世に生まれた頃の姿”を表していますが、フォルムがより可愛らしくなりましたね。

スーパードルフィーはリアルすぎず、アニメティックすぎない、普遍的な美しい造形を求めています。
リニューアルした幼SDボディも、これまでと同じサイズの衣装や靴を着用できます。またハンドパーツとフットパーツは従来通りとなっています。

幼い造形というと大理石のキューピット像などがイメージされますが、もっと原始的な愛らしさを求めました。
どんな動物も、生まれたての姿は愛らしいですよね。そういった、ずっと昔からの本能に訴えるような、幼い可愛らしさを取り込みました。

その上で少し演出を入れています。
また幼ＳＤボディを自然に立たせたとき、腕はまっすぐ下りずに、クリオネのように外側に向かって曲がっているようにしました。これはちょっと大げさな動きでメリハリをつけています。

いかに人間の肌の柔らかさを表現するか。ドルフィーの輪郭を再現するとき、肌そのものではなく、産毛が光ったような空気感を表現しています。写真で言うと、ソフトフォーカスがかかったようなフワッとした風合いです。
リアルなディテールを追いかけるのではなく、どこを省略するかをいつも大切にしています。俳句のように削ぎ落すことで、豊かな表現ができます。

─リニューアルしたボディについて、その他にもポイントはありますか？

ポーズのとりやすさ、衣装の着せやすさなども追及しました。
これまでのドルフィーで蓄積された工夫が、幼SDボディにも採用されています。

造形村とドール企画室など様々な意見を入れて、工夫を重ねました。
実際にお客様がお手に取った時、衣装を着せる時、写真を撮る時など、いろいろな状況を研究して、ベストな形に仕上げています。

─最後に、ドルフィーの造形についてメッセージをお願いします。

ヘッドでもボディの造形でも、忘れないようにしていることがあります。
積み重ねるだけではなく、差し引くこと、やりすぎないことも大事ということです。
人間は、全身に力が入りきった状態で歩くことはできません。
筋肉に力が入った時の形は美しいのですが、そういった表現をつきつめすぎると、ディテール至上主義になってしまいます。
肌の皺を表現するときも、皺を彫り込むのではなく、陰影で表現できないだろうかと考えます。
ディテールや性能といったスペック面ばかりでなく、もともとドルフィーに何が求められているのかを考えて、造形しています。

ー圓句昭浩

次回は造形村ドルフィーメイクアップアーティスト　Cieraのインタビューをご紹介します。
どうぞお楽しみに！